本日、技術・人文知識・国際業務(いわゆる「技人国」)に関するニュースが出ましたので、速報として整理しておきます。
今回の内容は、規制強化というよりも、制度の趣旨に沿った運用を改めて明確にする動きと捉えるのが適切だと思います。詳細は引用記事をご確認いただければと思いますが、ここでは実務目線で整理します。
引用記事はこちら
今回発表された内容
報道によれば、技人国の在留資格で外国人を派遣する場合、派遣元企業に対して誓約書の提出を求める方針が示されました。
誓約書の趣旨は、
技人国の在留資格に適合する業務に従事させることを約束する
というものになる見込みです。
新しい在留資格が創設されるわけではありません。
罰則が急に強化されるという話でもありません。
あくまで、
制度どおりに運用していますか、という点を明確にする措置
だと整理できます。
そもそも技人国とは何か
技人国は正式には「技術・人文知識・国際業務」という在留資格です。
大学で培った専門知識や、これまでの職歴による専門的経験、あるいは母国の文化・言語に関する専門性を前提として、日本国内で活動するための資格です。
たとえば企業内通訳は典型例です。
重要なのは、
この資格は「何でもできる就労資格」ではない
という点です。
あくまで、専門的な活動の枠を認めている資格です。
制度に潜む“落とし穴”
この制度には、以前から議論されてきたグレーな論点があります。
それは、
雇用された専門業務以外を、どこまでさせてよいのか
という問題です。
通訳で入ってきた外国人が、一日中通訳だけをしているわけではありません。
書類整理を手伝うこともあるでしょうし、関連する事務処理を任されることもあるでしょう。
この程度で直ちに問題になるわけではありません。
問題は、
専門業務が中心になっているかどうか
です。
通訳名目で入国したにもかかわらず、
- 通訳は月に数回のみ
- 実際の業務の大半は現場作業
- 日本人社員と同じ単純業務が中心
という状態であれば、在留資格との整合性が問われます。
近年は単純業務については特定技能や育成就労制度など、別の枠組みが整備されています。
つまり、
単純業務は別制度で受け入れる
技人国は専門職に限定する
という整理がより明確になっている流れがあります。
今回の誓約書提出方針は、その流れの延長線上にあるものと見ることができます。
派遣という形態の構造的リスク
派遣という形態には、構造的なリスクがあります。
雇用主と、実際の指揮命令を行う現場が分かれているため、業務内容が広がりやすいのです。
「少し手伝って」という業務の拡張は、派遣全般で起こりやすい現象です。
しかし外国人就労の場合は、単なる派遣契約上の問題では済みません。
これは入管法の問題になります。
入管が確認するのは、
何のためにこの外国人を日本に入れたのか
という点です。
入国時に「通訳業務のため」と説明して許可を得たのであれば、実態もそれに沿っていなければなりません。
契約書にそう書いてあるかどうかではなく、
実態が在留資格の範囲内かどうかが問われます。
契約ではなく「法律との整合性」
調整すべき相手は、派遣先との契約書だけではありません。
最終的に問題になるのは、法律との整合性です。
在留資格の範囲外の業務に従事させれば、
- 本人は退去強制事由に該当する可能性
- 企業は不法就労助長の問題
が生じます。
さらに、許認可事業を行っている企業であれば、信用や他の許可への影響も現実的なリスクです。
ダメージは連鎖します。
だからこそ、「なんとなく大丈夫」という運用は避けるべきです。
まとめ ― いま確認すべきこと
外国人を雇用する際に最も重要なのは、
在留資格を正確に確認すること
です。
その資格は何に基づくものか。
想定している業務は、その範囲内か。
グレーに感じる場合には、事前確認を取るという発想も重要です。
就労資格証明書など、入管に活動適合性を確認する手段は用意されています。
「大丈夫だろう」ではなく、
「確認してから進める」。
誓約書の提出が話題になっていますが、本質はそこではありません。
在留資格と実際の活動が一致しているか。
この原点を改めて確認する機会だと捉えるべきだと思います。
制度を理解し、枠の中で適切に活用する。
それが企業にとっても、外国人本人にとっても、最も安全な運用につながるはずです。


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