皆様、在留資格とは何かご存知でしょうか。
一般的には、いわゆる「ビザ」と呼ばれるもの、外国人の方が日本に入国する際の資格に関する制度です。
ただし、実務の現場では、「在留資格を持っているかどうか」よりも、
「実際に何をしているのか」が問題になる場面が少なくありません。
特に、外国人を雇用する企業側にとっては、
在留資格の理解が不十分なまま進めてしまうことで、
意図せず不法就労に該当したり、更新拒否につながったりするケースも見受けられます。
この記事では、特定の在留資格や個別の手続きを解説するのではなく、
「在留資格という制度を、どういう考え方で捉えるべきか」
その大枠を整理することを目的としています。
いわば、在留資格に関するピラー記事、総論的位置づけの記事です。
外国人を雇う、あるいは今後関わっていく可能性がある企業の方にとって、
最低限押さえておきたい考え方を、できるだけシンプルにまとめていきます。
在留資格は「活動内容」を整理する制度
在留資格とは何か、という一番大きなお題目ですが、
基本的には「活動内容を整理する制度」と考えていただければ大丈夫です。
皆さんも外国に行かれる際、入国時に「なぜ来たのか」「目的は何か」と聞かれると思います。
日本でも、基本的には同じことが行われています。
観光で来ている場合は短期滞在となり、数日から数十日程度の滞在になります。
一方で、仕事などで滞在する場合、30日や40日では足りないことが多く、
在留期間という考え方が出てきます。比較的長期の、中長期の滞在です。
重要なのは、在留資格を持っていれば何でもできるわけではない、という点です。
在留資格は、あくまで「どのような活動を行うか」に基づいて付与されます。
在留資格を取れば「何でもできる」わけではない
例えば、プロ野球選手は「興行」の在留資格で入国するのが一般的です。
その場合、契約したプロ野球チームでプレーし、興行収入を得ることが活動の前提になります。
それ以外の活動、たとえば別の仕事をする、継続的な副業を行うといったことは、
原則として認められていません。
なので、少し前に話題になった、プロ野球選手がYouTuberとして活動していたケースについて、は例外という評価です。(青い球団の先発ピッチャーです)
方法が全くないわけではありませんので、直ちに違法というわけではないんですが、相応の手間と調整が必要になります。
この例からも分かるように、
在留資格は「持っているか」ではなく、「何をしているか」が常に見られます。
在留資格と職業名は一対一ではない
注意しておきたいのは、
「この在留資格だから、この仕事ができる」という単純な対応関係ではない、という点です。
在留資格の定義は、比較的抽象的に書かれています。
例えば「技術・人文知識・国際業務」は、通訳や翻訳などに使われることが多いですが、
【在留資格:通訳】といった「通訳専用の在留資格」が存在するわけではありません。
また、「この会社に入るからこの在留資格になる」という考え方でもありません。
あくまで基準になるのは、業務内容や役割です。
プロ野球チームを例にすると、
一軍選手は「興行」が基本になる一方で、通訳やトレーナーなどの外国人スタッフは、「技術・人文知識・国際業務」などになるケースが一般的です。
会社や組織ではなく、
「どのような業務を行うのか」を基準に在留資格は判断されます。
在留資格の大きな三分類
在留資格は、大きく分けると三つに分類できます。
一つ目は就労系です。
仕事をすることを目的として日本に在留する資格です。
二つ目は非就労系です。
留学など、就労を主目的としない活動がこれに該当します。
三つ目が身分系です。
活動内容ではなく、身分や立場に基づいて認められる在留資格です。
日本人の配偶者や子どもなどが代表例です。
身分系の中には、就労が認められているものもあります。
ここでは、「資格によって働ける・働けないが分かれる」という点を押さえておけば十分でしょう。
「前は大丈夫だった」は通用しない
在留資格に関して注意が必要なのは、
「前は問題なかった」という感覚が通用しない点です。
在留資格の更新時には、実際の活動内容や収入状況などが確認されます。
活動内容と在留資格が合っていないと判断されれば、
更新拒否となることもあります。
この判断については、国の裁量が非常に強い分野です。
「少しぐらいなら大丈夫だろう」という認識は、
後になって大きなリスクになる可能性があります。
在留資格の判断が特に重要になる場面
在留資格の判断が重要になるのは、立場が変わるタイミングです。
代表的なのは、
留学生が日本企業に就職する場合、転職する場合、
あるいは社内で業務内容が変わる場合などです。
特に転職時は注意が必要です。
すでに在留資格があるため、
企業側も本人も確認を後回しにしてしまうケースが少なくありません。
しかし、業務内容と在留資格が合っていなければ、不法就労となり、
本人だけでなく、企業側にも責任が及ぶ可能性があります。
外国人を雇用する際には、
在留資格の内容を丁寧に確認することが重要です。
家族関係の変化も見落とせない
在留資格は、家族関係の変化によっても影響を受けます。
結婚や離婚によって、
身分系在留資格の前提が変わるケースもあります。
また、就労系の資格で在留している方が日本人と結婚した場合、
どの在留資格を選択するのがより安定するかを、
改めて検討する必要が出てくることもあります。
こうした切り替えのタイミングも、
慎重な判断が求められます。
まとめ:これはピラー記事です
この記事は、在留資格を「どう考える制度なのか」という総論を整理するためのピラー記事です。
個別の在留資格や具体的な手続きについては、
今後、それぞれ別の記事で掘り下げていく予定です。
外国人を雇用する企業の方にとって、
在留資格は「知っておくと安心」な制度ではなく、
知らないまま進めるとリスクになり得る制度です。
その前提として、
まずはこの考え方を押さえていただければと思います。

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