遺言書の作り方(公正証書VS自筆証書)

今回は遺言書の作り方について記事にしたいと思います。

少し話す項目が多くなりそうなので、記事ごとに要点を絞っていこうと思います。
なので、これはちょっとした連載になる…ということですね。

今回のメインテーマは、【公正証書遺言VS自筆遺言】です。
それでは、お付き合いください。

目次

遺言書の種類について

「遺言書を作ってみようかな…」
とおもわれて、あれこれサイトを調べてみると、何やら遺言書にもいくつか種類があることがわかります。

実は、遺言書には作り方によっていくつか名前があります。

①公正証書遺言 ②自筆証書遺言 ③秘密証書遺言

の3パターンです。ところで…

「いきなり3つも比べるのは大変!!」

と思われるので、③の秘密証書遺言は忘れましょう。

内容を遺言者(と作成者)以外に秘密にできるというメリットはあるのですが、この「秘密」が重要な利益になる遺言書は極めて少ないと思いますので、ややこしく感じるぐらいならいっそ忘れてしまいましょう。

なので、遺言書を考えるときには【公正証書VS自筆証書】ということになります。

おすすめは公正証書

先に結論を出してしまいましょう。

おススメは公正証書遺言です。

「どっちかな、うーん」とお悩みであれば、僕はこっちをおススメしてます。

何故おススメかと言いますと、公正証書遺言は公証人さんが作成するため、遺言書が無効になりにくいのです。

なぜ、【無効】を恐れるのかを次に解説してみましょう。

遺言書の最大の敵:無効を争う

遺言書にとって一番残念なことは、「遺言書が無効になる」ことです。

遺言者自身は、自分の遺言書が最終的にどうなったのかを知る由は無いですが…、それでも遺族を思って残した遺言書が無駄になるというのは避けたいところだと思います。

遺言書が無効になるパターンは大きく分けて3通りあります。

①遺言書の様式的に問題がある場合

②更新された新しい遺言書が見つかった場合

③作成時に意思能力が欠けていた場合

この3つです。

①と②は何となくわかっていただけると思います。
特に①に関しては【遺言書には守るべき様式が法定されている】ことをご理解いただければと思います。
(これは予告通り、別記事回しですね)

問題は③です。意思能力という聞きなれない単語が出てきました。
ここで「意思能力とは…」という法律の授業のような話をしても、あんまり面白くないと思いますので、ものすごく端的に表しましょう。

意思能力は、日常用語でいうところの「認知」です。
なので、「意思能力に欠ける」とは「日常の認知能力に問題がある」状況を意味します。

言葉選ばすフランクに言えば、【ボケてきていると遺言書が作れなくなる】んですね。

※重ねて申しますが、実態をつかむための「だいたい」の話です。

とはいえ、実際体は元気だったりしますし、認知能力が落ちてきていても、本人が筆を執って遺言書を形式上作成することはできます。形式上ですよ。

ただ、意思能力に欠けている場合、その遺言書は無効になります。
単に、「無効になる」とは言いましても、実際は他の相続人が遺言書の無効を争って裁判所等に掛け合うことになります。つまり、相続の争続化です。

せっかく遺族が揉めなくてよい様に遺言書を残したにもかかわらず、結局その遺言の真正を巡って争うようになるのでは、本末転倒です。なので、【無効】の可能性が残ることは相当怖いことだと思ってます。

公正証書遺言のメリット

ここで改めてにもなりますが、公正証書遺言のメリット

公正証書遺言は遺言書の方式としては非常に無効になりにくいです。

公証人さんが面前で意思の確認をしてくれますし、様式的な不備はあり得ません。
まとめてしまうとさっくりしてますが、先にも記載しましたが、【無効】を巡った遺言書のあれこれは、本当に面倒の一言ですので、それを回避できるのが何よりのメリットだと考えています。

公正証書遺言のデメリット

ここまでメリットを強く推してましたが、もちろんデメリットはあります。

一番のデメリットはコスト面でしょうか。

公証人の方に依頼となるので、当然ながらその分の費用が掛かります。
費用に関しては、遺言書に記載する財産の割合に応じてになります。

また、証人が2名必要となりますので、その分も費用が掛かります。

その他、自筆証書と比べると、「公証人の方との連絡交流」が必要ですので人によっては苦労につながるかもしれません。

自筆証書はどうか

ここまでつらつらと公正証書に関して述べてきましたが、自筆証書場合については簡単に説明します。

端的にはメリットデメリットは公正証書と真逆になります。

メリットとしては、費用面がほぼかかりません。ほかの誰かと交流が必要ということもありませんので、自分で思いついたときにぱっと書くことができます。

デメリットは無効リスクがあることです。
法定された様式を守れなかった場合はもちろんですし、作ったものを後々の遺族がそのまま争うことなく認めてくれるかという点で疑問が残るのも事実です。

あと、自筆は【完全自筆】です。ワープロ打ちなどは認められていません。
個人的に、字があんまりきれいじゃないので、自筆することにちょっと抵抗があるので、僕が遺言書残すとしても、この手法はあんまりとか思ってます。

全く使い勝手がないというわけではないので、それを少し考えてみましょう。

自筆証書の使い時

端的な使い時としては①費用を懸けたくないか、②ないよりはあった方がという温度感で遺言書を作る、要は「お金かけて公正証書にするまでもない」場合は自筆証書でもいいと思います。

例えばですが

①子なし夫婦において、相互の財産を相互に相続させたい場合
(遺言書を作らないと兄弟姉妹が関与する場合)
②推定相続人が全員同居しており、遺言内容を含め事前に協議が整っていている場合。
(要はある種の覚え書きとして機能させる場合)

これらの場合は、遺族がその意を汲み取ってくれる状況にあり、意思能力を問題として無効を争うケースはあまりないはずですので、自筆でもそこまで問題になることは無いと思います。

とはいえ、人の心を100%推し量ることはできないので、絶対にないとは言えませんが。

逆に、【誰かの相続分を当人に相談なく0にする】時は、自筆でされない方がいいと思います。

まとめ

長くなりましたが、一貫してお勧めするのは公正証書遺言です。

何においても、作ったものが無効になるどころか、無効を巡って残された人が争う展開が遺言書の趣旨から考えればあんまりなので、僕は公正証書をおススメしています。

ただ、おすすめはしますが、最終判断をするのは遺言者さん自身です。

ご自身の財産や家族の状況、書こうと思ている遺言書の内容に照らして判断が必要です。

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