経営管理ビザ、最近の省令改正でお金だけでは取れなくなりました。
「日本に住みたい」から始まる相談
「将来的に日本に住んでみたいんだけど、どうしたらいいかな」
こういう相談が、ちらほら入ってきます。ご本人から直接というより、知人経由で聞かれることが多いですね。
気持ちはわかります。ただ、日本に入って「住む」となると、何かしらの在留資格を取る必要がある。在留資格は大きく分けて、日本人の配偶者などの身分系と、日本で働くための就労系があって、就労系もさらに雇われるパターンと自分で事業をやるパターンに分かれます。
で、話を聞いていくと「雇われる予定はない、でもお金はある」と。
じゃあ選択肢としては経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)かな、となるわけです。
でも、その前に──何のビジネスをやるんですか?
ここで「じゃあ経営管理で」と進みたいところなんですが、この手の相談で一番詰まるのが実はここです。
事業の中身が決まっていない。
経営管理ビザは「経営する活動」に対して出る在留資格なので、何を経営するのかが定まっていないと、そもそも申請自体が成り立ちません。
お金があれば取れるというものではない。
事業計画を出して、専門家にも見てもらって、「この人はこの事業を日本で本気でやるんだな」と入管に納得してもらう必要がある。
もともとこの在留資格は「投資ビザ」と呼ばれていた時代がありまして、日本の市場に自分のお金を投資して事業をやる、ということが前提にある。「日本に住みたいから」ではなく、「日本で事業をやるから」住む、という順番なんですね。
ここの順番が逆の方が、結構多い。
さらに言うと、最近の改正でハードルがかなり上がっている
仮にビジネスの方向性が定まったとして、その先にも壁があります。2025年10月16日施行の省令改正で、経営管理ビザの要件がかなり厳しくなりました。
一昔前だと「お金さえ積めば日本で経営できる」というニュアンスで語られていたこともあったかと思いますが、今はそんな話ではありません。
改正の狙いを一言で言えば、名ばかり経営者の排除です。会社だけ作って実態がない、短期間で廃業する、そもそも経営する気がない──こういうケースを潰しに来ている。
具体的に見ていくと、
資本金が3,000万円以上に引き上げ。 以前は500万円でよかったのが、6倍です。お金がある方にとってはここ自体はクリアできるかもしれませんが、金額だけの問題ではなくなっています。
日本国内で常勤の職員を1名以上雇う必要がある。 ここが実務的にかなり重い。常勤なので、パートタイムや学生アルバイトでは認められません。しかも、雇える対象は日本人か、永住者・定住者といった身分系の在留資格を持っている人に限られます。就労ビザで来ている外国人を雇ってもカウントされない。つまり、日本に住んでいる人を、フルタイムで、ちゃんとした待遇で雇わなければいけないということです。
日本語能力の要件も新設。 申請者本人か、常勤職員のどちらかがN2(日本語能力試験)以上を持っている必要があります。申請者自身が日本語を話せない場合は、さっきの常勤職員にN2以上の方を充てれば要件は満たせます。ただ当然、その方と経営者がどうやってコミュニケーションを取るのかは、申請の際に説明できたほうがいい。
事業計画書を経営の専門家に確認してもらう必要がある。 税理士や中小企業診断士といった専門家に、事業計画の具体性・合理性・実現可能性について評価を受けたうえで提出することが求められるようになりました。「とりあえず作りました」では通らないということです。
つまり、お金・人・言語・計画、全部揃えてこい、という話になっている。「投資ビザ」時代の感覚で来ると、まず通らないでしょう。
憧れは否定しない。でも、制度はごまかせない
個人的な話をすると、「日本に憧れているから住みたい」という動機自体は、僕は否定するものではないと思っています。人が何かを始めるきっかけとして、憧れから入るのは自然なことです。
ただ、日本の在留資格制度は「何をするか」で入国の可否を判断する仕組みになっています。「住みたい」だけでは要件を満たさない。
憧れの気持ちは気持ちとして、制度上ないものをごまかして申請するわけにはいかないし、仮にごまかして通ったとしても、後で痛い目を見ることになります。
その上で、お金はしっかり持っているんだ、という方に関しては、経営管理という選択肢は確かにあります。ただ、最近のハードルの上がり方を見ると、「お金がある」だけでは全然足りない。何の事業をやるのか、日本語の体制はどうするのか、常勤で人を雇えるのか。このあたりが全部揃って、ようやくスタートラインに立てるという状況です。
出典:出入国管理庁 経営管理

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