皆さんこんばんは。
今日の記事なんですけれども、2月に技人国を利用した派遣就労に関する取扱いについて、事務連絡というか通達のようなものが入管の方から出まして、3月9日から実装されていますね。
世間的には確定申告でてんやわんやとしている間に、もう既に実装されているという感じではあるんですけれども、現在の技人国を使った派遣労働に関しての運用について、改めて周知したいなと思います。
一言で言うと、派遣会社・登録支援機関・外国人雇用を派遣で回している会社にはかなり重い調整だと思います。
あわせて、僕自身の見方みたいなものもお話できたらなと思いますので、よろしくお願いします。
今回の変更点をざっくり整理すると
本質的には、リンク先の入管庁のPDFを見ていただければ一目瞭然というところではあるんですが、改めてここで確認しておくと、現時点、つまり申請する時点で、派遣先が確定していなければ、まず許可が下りないということになりました。
また、派遣形態での就労にあたっては、派遣期間、契約期間に応じた在留期間が設定されるとされています。
さらに、在留審査にあたっては、今までは派遣元が基準となっていたんですが、今後は派遣先に対しても、業務の内容や活動状況について確認を行う場合がある、というところが今回の変更の柱かなと思います。
では、ここについて少し細かく見ていきましょう。
一番大きいのは、派遣先が決まっていないと申請できないこと
一番大きな部分なのは、おそらく派遣先が確定していないと在留申請ができないということですね。
これは何かというと、派遣会社さんによっては、派遣先が決まるまでは自分のところの手元に置いておきたいとか、あるいは研修名目で一旦自社と契約してしまって、一回日本に入れてから、後で派遣先を探すなり見つけるなりして派遣していく、という運用をしている会社もあったと思うんですけれども、それが明確にダメですよ、ということになりました。
先に人を確保してから仕事先を探すのではなく、先に契約場所、つまり派遣先を確定させてから外国から人を入れてください、という形ですね。
これは結構厳しいと思います。
外国に人をプールしておいて、派遣先が決まってから呼んでくる、というスタイルになってしまうので、人の動きのコントロールが難しい。
在留期間も派遣契約に引っ張られる
あわせて、派遣形態での就労にあたっては、派遣契約期間に応じた在留期間の設定ということになるので、原則的には派遣先を順次移していく、という運用もかなりやりにくくなっている、という見方になるでしょう。
たとえば、在留期間が5年取得していたとして、ある事業所に3年派遣する予定し、その派遣が終了した後に、残り2年くらい別の事業所に派遣する、という形式があり得たわけですが、それはかなり難しくなるのではないかと思います。
先の例で言えば、今回の運用方針では5年ではなく、少なくとも派遣契約期間に応じた期間で判断されるので、例示で言えば、最初の3年となるでしょう。
なので3年でいったん在留期間が切れるので、その段階で派遣契約を継続させるか、あるいは新しい派遣先がその時点で決まっていないと、更新が通らないのではないか、というふうに見えます。
その様によむと、今度は一度入れたはいいけど更新の都度に一度外国に戻さないといけないという運用になるので、派遣労働で来る外国人の方が日本に定着するのも難しく人材としてスキルアップもしにくくなるのではないでしょうか。
(定着させる気がない。という読み方もできますが)
チェックシートを見ると、主体が少し変わっているように見える
それから、チェックシートなんかを見ていると、考え方として主体が少し変わっているなという印象を受けました。
今までは、一番回避すべきは不法残留だと考えたときに、たとえば外国人の方が就労で入ってきているのに就労していなかったり、あるいは解雇されて働き口がないまま日本に残留してしまう、そういう状況が不法残留の根っこになるので、とにかくそのパターンさえ潰せていれば、まあいいでしょう、という発想だったように見えます。
だから、派遣元さえしっかりしていれば、少なくとも収入がなくなって日本社会から浮くということがなくなるので、ベースとしては保障されているから、日本に入国させておいても大丈夫だよねという理解ができたわけです。
でも今回の変更は、派遣先が決まっていないとダメ、ということになると、これは実質、派遣先が申請しているのとあまり変わらない形になっていると思うんですね。
派遣先が基本的な申請の主体になっていて、派遣元の方は、人を紹介したり、その人について一定の保証をしているとか、そういうレベルの位置づけに近づいているように見えます。
つまり、派遣元が人を抱えて、XさんをA社に出したり、B社に出したりして、その期間ごとにあちこちへ出して収益を上げる、という派遣元が主体して人を動かして収益するモデルを前提しているというよりは、むしろ派遣先の方が必要に応じてその会社から人を借りてくるというスタイルに変わっている。
なので、おそらくこれは、主体が少し転換されていると考えた方が素直かなと思いました。
派遣先の実態も見られるとなると、派遣元も無関係ではいられない
さらに言うと、派遣先の業務内容や活動状況に対して直接確認を行う場合がある、ということなので、入管が今かなり忙しい中で、そこまでマンパワーが残っているのかという点はさておくとしても、少なくとも理屈の上では現場も見ますよということになります。
そうなると、派遣先で、たとえば以前ニュースになっていたような、【通訳で入れているのにキャベツを切らせている】、みたいな実態があった場合、これは派遣先だけではなくて、派遣元も当然リスクを負う形になります。
派遣元からすれば、とんでもない話ではあります。
なので、実態として、派遣元が「うちは正しくやったから、あとは先のことは知らないよ」というのは、もう通す気がなくて、むしろ派遣先のチェックも、ちゃんと派遣元が責任をもってしろよ、というプレッシャーになっているんだと思います。
誓約書の追加も、かなり強い牽制に見える
以前ちょっとご紹介したと思うんですけれども、今回、両方ともに誓約書を出してくれ、という運用変更がかかっていて、それもチェックシートの中に入っています。
この誓約書のサンプルを見ても、活動範囲の範囲内で申請していること、活動範囲の詳細について説明し理解させていること、という記述が入っています。
なので、やっぱり派遣元も派遣先も、両方とも、その活動内容について責任を持ちなさい、現実の業務が申請内容から外れるようなことは当然ダメですよ、ということを、かなり強めに牽制しに来ているなというふうに思います。
まとめ
今回の内容はこれまで若干空白気味というか、曖昧で掘っておかれた部分をかなり明確に締めに来たなという印象です。
元より、外国人の受け入れに関しては「在留資格と活動内容が一致する」というのは当然の前提だったのですが、そのうえで【派遣労働ってそもそも通るのか?】というのは制度を考える専門家としては、正直ちょっと微妙でした。
何が微妙かというと、派遣元が外国人の身元を引き受けているのに、手元を離れて活動させるなら本来的にはその企業自身(派遣先)が外国人の身元を引き受ければよいのでは?というものです。
その辺の疑問を、共同の誓約書を提出させることと未だ派遣先(と作業内容)が定まらぬうちから引き入れることを禁止することで、一定の整理がついたのではないか?という風に考えています。
何にせよ、外国人を派遣するのは注意が必要。
ということは、これから先はより意識する必要があると思います。


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