出入国在留管理庁より
「出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令等の一部を改正する省令案」の概要
が発表されました。
端的に言えば、最近話題の「経営管理の在留資格」に係る諸要件の改正についてです。
行政書士のある先輩に言わせると「魔改造」だそうで。
この記事を書いている段階では悪魔で「案」なのでこれから変更になる可能性があることはご了承ください。
それでは、個人的に気になった部分を見ていきましょう
要件の厳格化
必要な資金の額をアップさせます。500万円⇒3000万円
この辺は報道などされているので、結構有名どころですね。
シンプルに金額が上がっただけなので、これは解りやすいと思いきや、結構深刻な模様。
上記PDFにもありますが、従来は
ア その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する2人以上の常勤の職員が従事して営まれるものであること。
イ 資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること。
ウ ア又はイに準ずる規模であると認められるものであること。
とあったのですが
いずれかに該当していることを求めていたところ、常勤の職員の数について1人以上とした上で、資本金の額又は出資の総額について500万円以上から3,000万円以上に引き上げるとともに、ウを削り、ア及びイのいずれにも該当していることを求める
とあります。常勤の人数は減りましたが、2要件がいずれも必要という表現になってますね。
整理すると次の2つが必須になりました。
①(申請人以外に)日本に居住する常勤の職員1名以上
②資本金の額又は出資の総額が3000万円以上
尚、【ウ】が消えるので、『準ずる規模』という曖昧な逃げ道が消えました。
絶対に一人以上常勤で雇って、お金は3000万円以上出さないといけません。
単独で日本に乗り込んできてビジネスをやるのもダメと…。
更に現場的には結構大がかりのようですね。特に留学⇒企業を考えていた外国人の方には大打撃だとか。
尚、3000万円は出資でもいいので、雇用とか事務所の抑えとかでもいけたりします。
人の要件も厳格化
さらに、資本とかの外的要件に加えて、人的要件…人の資格とかもかなり見るようになりました。
② 申請人が次のいずれかに該当していることを求めることとする。
ア 経営管理に関する分野又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野において博士の学位、修士の学位又は専門職学位を有していること。
イ (申請人が事業の経営に従事しようとする場合においても、)事業の経営又は管理について3年以上の経験(特定活動の在留資格(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件で定める活動のうち本邦において貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動を含む活動を指定されたものに限る。)をもって本邦に在留していた期間がある場合には、当該期間を含む。)を有していること。
括弧書きがややっこしいですね。少し整理しましょう。
①経営管理か実施する事業の業務に必要な技術又は知識について、博士・修士・専門職学位を有している
②事業の経営又は管理について3年以上の経験を有している。(年数のカウントに一部特定活動を加えられる)
さらっと書いてますが結構重たいですよ、これ。
例えば話題になってた民泊ですが、【民泊の業務に必要な技術又は知識についての学位】って皆さん、なにか思いつきます?
残念ながら、僕はパッっとは出てこないですね。
経営の学位持ってれば話は別ですが、そもそも学位とか持ってない人もいますしね。
例えば、中国で学位持たずたたき上げで貿易業やってた人が、日本でのビジネスを思いついたとしても、そのビジネスに関する経営管理経験が3年ないと駄目ってことですから。
結構な締め出しと言えるでしょうね…
提出書類に関して
個人的に目を引いたのはこれでした。
① 事業計画書について、経営に関する専門的な知識を有する者による評価を受けたものを提出しなければならないことを定める。
現場では事業の説明資料として事業計画書を出したりするパターンがあったと思いますが、今度からはそれが必須、しかも「専門的な知識を有する者による評価」を受ける必要があると。
これ、今回の案の中で個人的にいっちばん微妙なところです。
まず、「経営に関する専門的な知識を有する者」とは誰でしょうか?
会計士?税理士?中小企業診断士?
この辺がまずもってあやふやなんですよね。
さらに、入管業務はこういっては何ですが、書類の偽造や申告の虚偽と隣り合わせの業務です。
これは単に外国人だからという話しではなく、許可によって得れるリターンが他の許認可よりも大きいためですね。
実際僕たちも入管業務に携わる取次資格を得るためには行政書士の資格に加えて、別途の試験を受ける必要があります。
また、名義貸しといったブローカーもちらほらお見受けします。
正直、補助金とかほかの国内業務に比べると、ちょっとキナ臭いというか、トンデモナイ話がゴロゴロあるのがこの業務です。
ですが、この書き方だと、その専門家さんはそういった研修とかを受けることなく、入管に係る書類を作成するということになるわけですが…。
流石にその点に関しては、ちょっと疑問なんですよね。
施行日
気になる開始日ですが、今年の10月中旬を予定しているのだとか。
ずいぶんお早いお話しで。
なので、これから駆け込み…となるにしても、恐らく実態的には(3000万とは言わないでも)これに近い審査がされるんじゃないかなというのが個人的な所感です。
当然ながら「更新」でも適用されます。
chatGPT君によれば、初回の経営管理の在留資格は「1年」にとどめ置かれることが多いそうなので、1年後に常勤1名以上雇った上で、資金状況は3000万円以上を標準に経営状況をジャッジされる可能性だってあるわけです。性悪説的に見ればデスが。
となると、現行の「案」の状況では一番辛いのは実は「更新」かもしれませんね…。
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