相続人になった時に考えること

目次

はじまり

今回は相続に関する記事なります。
相続というと、何かややこしそうで面倒なイメージがあるのではないでしょうか。

実際のころ、家族構成などで手間は大きく変わるのですが、『間違った相続をすると、やり直しや払い戻しなどが生じる可能性がある』という意味合いでは面倒なイメージはおおむね正しいといえるのかもしれません。

今回の記事は、実際に手を動かす…というより、間違った相続をしないために気をつけておくことをまとめたものになります。
基本中の基本をなるべくわかりやすい形でお伝えできればと思います。

それではお付き合いください。

相続の開始

なんとなく、人が亡くなったから相続が始めると感覚をお持ちだと思います。
実は、相続の開始は民法でちゃんと定められています。

(相続開始の原因)
第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。

一般的に、相続のお話しは葬儀などが一通り終わったあとにされると思いますが、法的には亡くなった時点で相続が開始しています。

「そんなこと態々書かなくてもわかるやん?」

と思われると思います。ところが、これを書いておかないと、『相続の開始の時期が自分たちで決めれる』ことになり、それだと相続人がだれか?というところに大きく影響が生じます。


例えば、交通事故などで、夫婦が同時に死亡した場合にそれぞれが相続人となれるか?という疑問について、結論はこの条文があるため、夫婦はそれぞれの相続人にはなれません。相続は相続開始時点で生存している人で行うからです。
条文がなく、相続開始を恣意的に調整できるとすれば、一旦夫を先に被相続人にさせて、そのあとに妻を…という解決もできますが、これは大きな問題があります。

相続人が変わると何が起こるかは、後の項目で詳しく説明します。

相続を知った時

「親戚の〇〇さんがなくなったって」

といった具合で、誰かが亡くなったと知った時に相続は既に開始しています。

どなたが亡くなったかによる部分はありますが、今後の相続への展開に不安が募るのがこの瞬間でしょう。

相続の開始を知って真っ先に確認すべきことは次の3つです。

①遺言書はあるかないか

②誰が相続人になるか(推定相続人調査)

③相続財産はいくらか

今回はこれらの点について説明していきましょう。

「遺言書」がすべてを制する

真っ先に検討するべきは遺言書があるかどうかです。

故人が管理していた書類ケースなど、重要なものが詰まっているところを捜索することになります。

尚、遺言書の形式によっては、公正証書役場(公正証書遺言)や法務局(遺言書保管制度)に遺言書が保管されている場合もありますので、そちらへの照会も忘れずにしましょう。

そして、遺言書を発見した場合は、決してその場で開封してはいけません。

上記以外の遺言書(自筆遺言書といいます)は、その内容の真正を確認するために、一度裁判所で検認の手続きを経る必要があります。

開封してしまうと刑事罰がありえますので、見つけたら裁判所に必ず持っていきましょう。

・なぜ、遺言書の捜索をするのか

一言で言ってしまえば、遺言書があれば相続はそれで終了するからです。

相続におけるメインテーマである遺産の分割は、原則として相続人全員で協議して決定しなければなりませんが、遺言書があれば、この協議を経ずに、遺言書の記載通りに分割することができます。
また、(特に専門家が関与した場合の)遺言書には、遺言書の内容を実現させる「執行者」が設定されている場合がほとんどです。
執行者はその権限で、銀行手続きや登記手続きを実行してくれますので、執行者以外の方が行うことは、ほとんどなく相続が終了します。
(※ただし、遺言書の内容によっては、準確定申告や年金の清算手続きなど、故人の身辺に関わる手続きが必要です)

尚、遺言書に関して内容が納得いかない場合は、例外的な手続きとして相続人全員の同意の元であれば遺言書を無効とし、相続人らで分割の協議を行うことができると考えられています。

とはいえ、納得が行かないという場合は、他の誰かが得をしている場合が多いので、無効の合意をえることは難しいと思われます。

さらにその場合は、無効確認といった訴訟手続きの方面になるのですが、それはまた今度にしておきましょう。

どれくらい財産があるのか

順番は前後しますが、先にこっちをやってしまいましょう。

相続における財産、所謂遺産とは、預金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金やローンといったマイナスの財産も含まれます。

悲しい話、借金まみれで残すものがないとなると、文字通り借金だけを引き継ぐ可能性もあります。

それを前提として、財産状況を調査します。
もっとも、生前交流があった方であれば、ある程度銀行預金であるとか、不動産の所有状況は把握できていると思います。
交流がない場合がちょっと大変なんですよね。
家探しして通帳の発見だとか、信用会社に問い合わせして負債状況を確認したり、不動産があるなら名寄帳で確認して当該不動産の状況を確認するために、今度は法務局に行って登記簿調べたりとか…

ちなみに、調べ漏れがあると、後々その部分について再度協議し直しということになるので、本当に面倒。

とはいえ、これら全部が「遺産」ということになるので、根気よく探すしかありません。

誰が相続人になるのか

ある意味で一番の関心事ですかね。

遺産がプラスでもマイナスでも、どっちにしても重大なポジションにつくことになります。

考え方が2軸ありまして、その2つを足した皆様が相続人ということになります

  • 1.配偶者がいる場合は常に相続人

法律上の配偶者がいる場合は、常に相続人になります。
法律上のとは戸籍に記載されているという意味です。

近年の判例では、法律上の配偶者でなくても(事実婚でも)相続人となることができる場合が示されていますが、あくまで事情によるというのが現状です。

  • 2.血縁者は残ってる人による

さて、ここからがややっこしい話です。
配偶者と同じく相続人なる方は、俗にいう血縁者になります。
処が、この血縁者は優先順位がありまして、前の人がいない場合にどんどん繰り上がっていく仕組みになってます。
順番を見てみましょう

①子供がいる場合は、子供
②子供がいない場合は、両親
③親もいない場合は、兄弟姉妹

という順番になってます。
ちなみに、この子供は養子はもちろん「胎児」も該当します。
まぁ、胎児に関しては想像できるシチュエーションとしてはあーんまり良くない状況ではあるんでしょうが。

実は1と2の間にもう一つ枠があります

①´子供はいたが既に相続権を失った(死別した)。しかし、孫が既に生まれている場合は、孫

代襲相続と言われる制度で、相続人の子供が何らかの理由で相続権を失っている場合に、その子供の子つまり孫が存在する場合は、孫が子供に代わって相続の権利を得ます。

なので、整理するとこんな形になります

子供(孫)>両親>兄弟姉妹のうち1グループ+配偶者

なお、この相続人の関係は戸籍謄抄本によって整理されます。
銀行なんかは凍結を解除するために、これらの戸籍謄抄本(あるいは、これに基づき作成された家族関係図)の提出を求めてきます。

この戸籍調査は本当に家族ごとに手間が異なります。
配偶者と3人の子供だけとかの形なら、本当にあっさり終わるんですが、兄弟相続の場合まず本人の戸籍から子供と配偶者がいないことを確定させて、次に親の戸籍…これが生まれから全部調査して、知らない兄弟がいないかを確認します(尚夫婦分なので2通)そのうえで、知らない兄弟がでてこようもんなら、今度はそっちの戸籍に当たって生存を確認して…。と書いてるだけでもあーってなる人いると思います。
ちなみに…戸籍は婚姻や離婚でくっついたり離れたりしますので、破天荒な親族がいると戸籍調査は結構難航します。

最後に

以上が相続の相談に来られた際に、僕が一通り話していることの概要です。

遺言書の捜索>財産の調査=相続人の調査

分割協議書や相続人の調査については行政書士としてサポートできる範囲があるので、その点については提案させていただいたうえで、ご自身でされるかどうかの判断いただいてます。

恐らく、ここを外してる専門家はいないと思いますので、相続人になったと思ったら、まずは専門家に相談するのが一番だとは思いますが、この記事がちょっとしたお悩みの解決になれば幸いです。

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