本日(2026年3月27日)、出入国在留管理庁から、特定技能の外食業分野について4月13日から新規の受入れを一時停止するという発表がありました。
なかなかインパクトのある話です。日頃から外国人の採用を進めていた企業さん、あるいはこれから採用計画に組み込もうとしていた事業者さんにとっては、かなり影響のある内容だと思います。
速報なのでまだ変化はありませんが、「結局これ何が起こったの?」というところを整理してみます。
そもそも「特定技能」って何?
特定技能は、2019年にできた在留資格です。コロナ前にできた制度ですね。日本国内で人手不足が深刻な分野に限って、一定の技能と日本語能力を持った外国人を受け入れるための制度として作られました。
ちょっとわかりにくい言い方になるんですが、技人国(技術・人文知識・国際業務)の考え方とは見方が違います。技人国は基本的に「何をさせるか」で見ているので、業種を問わず、通訳でも翻訳でもエンジニアでも、必要があれば採用できる可能性がある。
一方で特定技能は「この業種で人が足りないから、そこに向けてどうぞ」という形で、業種の側から設計されている。この見方の転換があるので、ちょっと変わった在留資格だと思ってもらえればいいかなと思います。
現在は外食業を含む19分野が対象になっていて、「1号」と「2号」の2種類があります。
1号は在留期間が通算5年まで、家族の帯同は認められていません。
2号は在留期間の上限がなく、家族帯同もできる。
1号で経験を積んで試験に受かれば2号にステップアップできるという設計です。
今回の「受入れ停止」で何が止まるのか
今回停止されるのは、新規の在留資格認定証明書(COE)の交付です。つまり、海外にいる外国人を新たに特定技能で日本に呼んで働いてもらう、というルートが止まります。
身近なパターンで言うと、たとえば日本人オーナーがネパールカレー屋さんを経営しようとして、海外から料理人を特定技能で呼ぼうとした——みたいなケースが難しくなる、とイメージしてもらえればいいかなと思います。
(まあネパールカレー屋さんはいろいろと噂もあるので、その限りではないかもしれませんが。)
一方で、以下のケースは引き続き対応されます。
- 既に外食業の特定技能1号で在留している人の在留期間更新
- 技能実習からの移行
- 既に外食業の特定技能1号を持っている人が別の外食企業に転職するケース
要するに、**「国内にいる人の在留は継続できるけど、海外から新しく人を呼ぶのはストップ」**というのが今回の措置です。
ちなみに、4月12日までに受理された申請は順番に審査されるとのことですが、上限を超えた場合は認定証明書が交付されません。正直なところ、今の段階ではもうほぼ間に合わないと思った方がいいんじゃないでしょうか。既に申請中のものもあるはずなので、新規の提出はもう諦めた方がいいと思います。
なぜ止まったのか——上限5万人に到達目前
特定技能には、分野ごとに「受入れ見込数」という上限が設定されています。閣議決定で決まるもので、外食業は2028年度末までの枠として5万人。
ところが、2026年2月末時点で外食業の在留者数はすでに約4万6,000人。このままいくと5月には上限を超える見込みになったので、余裕を持って4月13日に停止するという判断がなされました。
全国で5万人というのは、だいたい行政書士の登録者数と同じくらい、コンビニの店舗数と同じくらいの規模感です。飲食店って外国人の方、結構多かったですよね。留学生もいましたけど、やはりインバウンド対応のためにという名目もあったんでしょう。万博もありましたし、そこに向けて対応できる人材を増やしていた。それがリミットに来たので、今回の停止ということになります。
「じゃあいつ再開するの?」——再開見通しの考え方
事業者さんが一番気になるのはここだと思います。
正直に言うと、わからないです。
今回は総量規制——全体の枠に対しての上限に達したことによる停止なので、当然ながら枠に空きができたときには再開されます。辞めて他の職に転職した人がいたり、帰国した人がいたり、2号に上がった人がいたりすれば、その分だけ枠は空く。ただ、いつその枠ができるのかというのがわからない。
過去には別の業種(産業機械製造業)で停止後、数ヶ月で再開したという事例はあります。ただ、それはあくまで希望的観測として捉えてもらった方がいいかなと思います。
上限そのものを引き上げるとなると、分野別運用方針の見直し、つまり閣議決定レベルの手続きが必要です。今の5万人という枠は2026年1月に決まったばかりなので、すぐに「やっぱり増やします」となるかというと、構造的に簡単ではありません。
じゃあ事業者として何を考えるべきか
まず、採用計画の中に海外から外国人を呼び入れるという前提が入っていた場合は、もう根本的に見直した方がいいと思います。既に国内にいる特定技能人材を引き入れる分には問題ありませんが、そういう方はもう他の企業さんが押さえているケースも多い。
で、やっぱりこういう話が出てきたときに立ち返るべきは、国内人材をどう使うかというところだと思います。
本当に外国人の人材でなければ補えない採用計画だったのか。外国語での対応が必要だから、という理由であればやむを得ない部分はあるんでしょう。ただ、単純にコスト安だからという理由で雇い入れるつもりだったのであれば、その「安かろう」はやっぱり一旦捨てなければいけないのかもしれません。どこかにコストを跳ね返させるとしても、日本人の方を雇い入れるというところを念頭に置いた採用計画に見直す方がいいのではないかなと思っています。
余談ですが
この話、僕にとってちょっと嫌なところが二つありまして。
一つは、「日本人の採用計画を見直した方がいいですよ」というアドバイスになっているところ。僕は入管業務を扱う行政書士なので、これは僕の事務所的にはマイナスです。仕事にならない。
でも、それが一番正しいと思うから素直に言う。それが僕のスタンスなので、まあ気にしてません。
もう一つは、採用計画を見直して人材コストを上げて日本人を雇いましょうとなれば、当然ながらそのコストはどこかに跳ね返ります。たとえばコース料理の値段が100円、200円高くなるということも十分あり得る。実は会の幹事で飲み会の予算編成をちょうどやっているんですが、アメリカの騒ぎでガソリン代が跳ね返って輸入コストが上がるかなと思っていたら、今度はこれでまた上がりそうな要素が出てきて。ちょっとげんなりしてます。
まあ、それはそれとして。こういうアクシデントは経営を見直すきっかけにもなります。やってみる価値はあるんじゃないかなと思います。
制度の動きは引き続き注視していきます。新しい情報が出てきたら追記・続報を出す予定です。
参考リンク
出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」(令和8年3月27日) https://www.moj.go.jp/isa/applications/ssw/03_00001.html
外食業分野の制度全般ページ(入管庁) https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/foodservice.html
農林水産省「外食業分野における外国人材の受入れについて」 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/gaikokujinzai.html
垂井事務所(大阪府高槻市) 建設業許可・在留資格・ドローン許可・障害福祉サービスの許認可手続き https://www.office-tarui.com


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