以前の記事で、外国人を雇用する際には在留資格の確認が必要だというお話をしました。特にアルバイトで留学生を雇う場合は、資格外活動許可を得ているかどうかの確認が欠かせません。
ただ、この資格外活動、実は留学生のアルバイト以外にも使い道があります。それが副業です。
副業と資格外活動の関係
日本でも副業という言葉はすっかり定着してきました。会社によっては積極的に認めているところも増えています。
ただ、外国人スタッフが副業をしようとすると、日本人とは話が変わります。本業以外で収入を得る場合は、資格外活動許可を取る必要があるというのが原則です。
資格外活動許可とは、現在持っている在留資格の範囲外の活動——副業や掛け持ちといった収入を伴う活動——をするために、入管から事前に許可を得る手続きです。これを取らずに収入を得てしまうと、入管法違反になります。
資格外活動:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-8.html
更新審査で何が問題になるのか
資格外活動違反があった場合、在留期間の更新審査で引っかかります。
更新審査では「素行善良要件」というものが見られます。聞き慣れない言葉かもしれませんが、要するに「法律を守って生活しているか」という評価項目です。資格外活動違反はここに直接影響します。入管法違反として記録が残るため、更新の際に消極的な判断材料になります。
さらに注意が必要なのは、更新ができたとしても、在留期間が短く出る可能性があるという点です。通常であれば3年や5年もらえるところが、違反歴があると1年になるケースがあります。「更新は通った」で安心してはいけない理由がここにあります。
審査基準:https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyuukokukanri07_00058.html
割に合わないリスクを伝える
副業がバレるかバレないか、という話をする前に伝えておきたいことがあります。
日本人が副業をしてバレた場合、最悪のケースは叱責や懲戒処分といった社内の問題です。それでも、その人材をどう処遇するかは会社が決められます。能力があるか、会社にとって価値があるか——そういった判断を働かせる余地がある。
外国人の場合は、そこが根本的に違います。
資格外活動違反が発覚すれば、在留期間の更新に影響し、場合によっては更新不許可、退去強制手続きへと発展します。いくら能力が高くても、会社にとって欠かせない人材であっても、入管から「これは違法です」と判断されてしまえばそれまでです。処遇を会社が決められない。 採用して育てた人材の去就が、最終的には入管の判断に委ねられる構造になっています。
副業で得た収入と、失うリスクが全く釣り合っていない——外国人スタッフにそう伝えることも大事ですが、雇用側もこの構造を理解した上で、より慎重に関わっていく必要があります。
出身国によっては「バレても大したことはない」という感覚を持っている方もいます。でも日本の入管行政はそうではない。ここの認識のギャップを埋めることが、雇用側の大事な役割の一つです。
企業と外国人、利害は一致している
結局のところ、この問題は企業と外国人の利害がどこで一致するかという話でもあります。
企業にとって、育てた人材が制度上の理由で退職を余儀なくされるのは損以外の何でもありません。外国人スタッフにとっても、わざわざ日本に来たにはそれなりの動機や理由があるはずで、その目的が果たせなくなるのは当然デメリットです。
お互いにとって損な話だからこそ、雇用側がきちんと案内して、副業をするなら先に資格外活動許可を取るという運用を定着させておく。それが一番シンプルな解決策です。
雇用側にできること
最近、日本語学校に対して、在留活動が適正に行われているか——特に資格外活動について——定期的に指導するよう求める動きが出ています。所属機関に管理責任を求める流れが出てきているということは、企業も同じ文脈に置かれつつあるということです。
外国人スタッフが副業を考えているなら、まず資格外活動許可を取るよう案内する。それを社内の運用として定着させておく。
なお、不法就労助長罪という規定もあります。知らずに違法な状態を放置していた雇用側も、場合によっては責任を問われます。「本人の問題だから」では済まないケースがある。そこまで含めて、頭に入れておいてください。


コメント