不法就労は「雇う側」の問題でもある。電子鑑識のニュースから考えたこと

久しぶりの更新になります。

今回は、外国人の不法就労について、雇用する企業さんに確認していただきたい話です。

ここ最近、ちょっと仕事の関係でバタバタしていまして、間が空いてしまったなというふうに思っています。

今回は、ニュースからのピックアップです。

読売新聞が報じた、不法就労の外国人から押収したスマホやPCを「電子鑑識」で解析し、雇用主や仲介業者などの摘発につなげようという話です。

このニュースを見て、外国人を雇用する企業さんに、改めて意識していただきたいことがあるなと思いました。

この記事でお伝えしたいこと

「外国人本人の在留資格の話」で終わらせず、仕事を任せる企業側も確認する必要がある。

今回は、そのあたりをお話ししたいと思います。

目次

不法就労は、働く本人だけの話ではない

働いているということは、受け入れているところがある

今回のニュースは、ざっくり言うと、スマホやPCに残っている電子記録から、雇用の実態を調べていこうという話です。

どこで、どういう形で働いていたのか。その仕事を誰が紹介して、誰が雇っていたのか。そうした関係を調べるために、電子鑑識を活用するということですね。

不法就労の話になると、どうしても「外国人本人が悪いんだ」という論調で語られがちです。

ただ、他方で、働いているということは、受け入れているところがあるということですので。

雇用する企業側の責任というものも、やはり問われる話だと思うんですね。

雇用主や仲介業者にも目を向ける動き

今回の報道も、外国人本人だけでなく、雇用主や、間に入っているブローカーまで調べていくという内容です。

どうしてこういうことが起こっているのか。誰が仕事を紹介し、どこが受け入れているのか。

そうした仕組みにも目を向ける動きだと、僕は受け止めています。

あわせて読みたい

不法就労の類型や、雇用する企業側が気をつけたい点については、以前の「入管庁が不法就労の統計を出してきた──外国人を雇用する事業者が見ておくべき数字の話」でも取り上げています。

仕事内容を決める企業側に、確認してほしいこと

僕が普段お話しする相手は、外国人を雇用される企業さんが中心です。

もちろん、外国人の方ご本人とも面談しますし、どういう形で働こうと思っているのか、お話をすることもあります。

ただ、実際にどんな仕事を任せるのか、どの部署に配置するのか。そこは、やはり企業側が主導権を持っている部分ですよね。

だからこそ、企業さんの側で、任せようとしている仕事に問題がないかを確認していく。ここがとても大事だと思っています。

申請した仕事内容と、実際の仕事をずらさない

例えば、就労のための在留資格を取得する場合や、更新をする場合には、会社でどんな仕事をするのかを説明して、審査を受けることになります。

そのときには、実際に任せる仕事内容を、申請書類や、必要に応じて理由書などで、きちんと説明する。

そして、申請で説明した内容と、実際に働いてもらう内容がずれないようにする。まずは、ここですね。

もちろん、理由書に書いた仕事から一つでも外れたら、全部だめだという話ではありません。

大事なのは、その方の在留資格で認められている活動の範囲に、実際の仕事が入っているかどうかです。

仕事内容を変える場合にも、「会社の中の配置転換だから大丈夫だろう」と、そのまま進めないことが必要だと思います。

転職してきた方には「就労資格証明書」という確認方法も

転職してきた方を雇用する場合には、「就労資格証明書」という制度もあります。

これは、在留期間の更新を前倒しするというものではありません。

転職先での仕事が、今の在留資格で認められる活動に当たるかどうかを、確認・証明してもらうものですね。取得が一律に義務づけられているものではありませんが、確認のために活用できる制度です。

雇用する側としては、

「今からこの方に任せようとしている仕事は、この方の在留資格でできる仕事なのか」

ここで一度、立ち止まって考えることが大事だと思います。

あわせて読みたい

就労資格証明書を取るかどうかの考え方については、「就労資格証明書は取った方がいいのか。転職時に悩ましい在留資格の話」で、もう少し詳しく書いています。

人手不足だからこそ、採用後の仕事まで考える

外国人の採用は、現場の人手不足だけの話ではない

僕が思っているのは、日本で働く人の数が減っていく中で、外国人の方に働いてもらうという選択肢は、これからも必要になるだろうということです。

人手不足というと、どうしても現場の仕事が取り上げられやすいんですけれども、それだけではないですよね。

技術ですとか、研究ですとか、通訳ですとか。

専門的な知識や経験を持っている人を採用したいけれども、日本人だけでは、なかなか人が見つからない。そういう分野で、外国人の方に来てもらうというのも、一つの考え方だと思います。

ただ、採用するときには、来てもらった後にどんな仕事を任せるのか。そこまで考えておく必要があります。

「採用できたら、どんな仕事でも任せられる」わけではない

ここで主にお話ししているのは、「技術・人文知識・国際業務」など、働ける活動の範囲が決まっている在留資格の方についてです。

専門的な仕事をしてもらうために採用したのに、その仕事がなくなったから、今度は人手の足りないところへ、と。

会社としては、そう考えたくなることもあると思うんですけれども、そこは一度確認が必要です。

仕事を変える前に、一度確認を

採用できたことと、会社の中で自由に仕事を任せられることは、同じではないんですね。

配置転換は、部署の名前より「仕事の中身」

スポーツで言えば、あるポジションを補強するために選手を取ってきた、という感覚に近いかもしれません。

ファーストを補強したくて取ってきたけれども、今度はレフトが足りないから、そちらに回ってもらおう、と。会社の中でも、似たようなことはあると思います。

ただ、在留資格の話では、会社の都合だけで決めずに、そこで一度確認してくださいね、ということです。

最初に任せたポジションから、絶対に動かせないという意味ではありません。

別の仕事を任せるのであれば、その仕事も、その方の在留資格で認められる範囲に入っているかを見る必要があります。

「事務職だから大丈夫」「専門職から別の部署に移ったからだめ」というように、肩書や部署の名前だけで決まるものでもありません。

実際に何をするのか。その中身を見ていく必要があるんですね。

本人任せにしないことが、会社と働く人を守る

人手が足りないから採用する。それ自体は、一つの選択肢です。

ただ、採用するときだけでなく、仕事を変えるときにも、任せようとしている業務と在留資格が合っているかを確認する。その手間は、やはり必要だと思います。

企業が確認したい3つのタイミング

  • 採用前に、任せる仕事と在留資格が合っているか確認する
  • 採用後も、申請で説明した仕事内容と実態がずれていないか確認する
  • 配置転換の際には、変更後の仕事についても確認する

仕事を割り振るのは企業側ですので、そこを外国人本人任せにはしない。

雇用する側が責任を持って確認していくことが、会社を守ることにも、働くご本人を守ることにもつながると思います。

今回のニュースを見て、改めてそのあたりは、しっかり注意して話を進めていかなければいけないなと感じました。


参考記事:不法就労の外国人から押収したスマホやPC、「電子鑑識」で解析へ…雇用主らの摘発強化で入管庁(読売新聞/Yahoo!ニュース)

制度の参考:就労資格証明書交付申請(出入国在留管理庁)/「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について(出入国在留管理庁)

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この記事を書いた人

大阪を拠点に、建設業許可・在留資格・ドローン・障害福祉などの許認可手続きを中心に取り扱っています。
法律を専門的に学んだ経験を背景に、複雑な手続きの要点を分かりやすく整理し、実務でつまずきやすいポイントを拾い上げて紹介しています。
ときどき雑談や趣味の話題も交えながら、専門的な内容をできるだけ読みやすくまとめているブログです。

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