経営管理ビザの更新不許可のニュースを読んで、気になったこと

在留資格のことを仕事にしていると、こういったニュース記事や世の中の情勢、特に入管や外国人の在留をめぐるニュースは、たびたび目に止まります。今回は、SNS上で流れてきたダイヤモンド・オンラインさんの記事を少し拝見しました。その中で気になったところや、「こうだよね」と思ったところをお話しできたらと思います。

目次

経営管理ビザの更新が「ダメになった」という話

最近、こういったニュースをよく見ます。在留資格が切れてしまい、ほかに適法に在留を続けられる資格などもなければ、外国人の方としては母国に帰っていただくことになります。その中でも特に、ここ最近厳格化された経営管理のビザをめぐって、「今まで大丈夫だったのに、更新がダメになってしまった」という話はたくさん聞きます。

僕のところにも何件か相談が来ましたが、「それは厳しいだろうな」というところで、お断りしたケースも中にはあります。

今回も経営管理がテーマです。この記事を見て僕個人が少し気になった部分や、「これは隠れている情報があるんじゃないかな」というところを挙げてみてもいいのかなと思います。

ポイント: 経営管理ビザは厳格化されていて、「今まで大丈夫だったのに更新がダメになった」という話は実際によく聞きます。

新基準の施行後の更新。ただし経過措置がある

この記事では、2022年に日本にやってきて、2026年9月の更新が認められなかったというお話でした。

来日は4年前ということなので、途中で更新を重ねていたのだろうと思います。ただ、これまで何年の在留期間が許可されていたのかは、記事からは分かりません。

経営管理は2025年10月16日から新基準になっています。ただし、以前から経営管理で在留している方の更新には、経過措置があります。

入管庁の案内では、2028年10月16日までの間は、新たな基準を満たしていないということだけで更新が不許可になることはないとされています。経営状況や、新基準に適合する見込みなども踏まえて判断されるということですね。

新基準の詳しい中身は別に置いておくとして、話題になっているのは資本金等3,000万円以上と、対象となる常勤職員を1人以上雇用するというルールです。ほかにも日本語能力や学歴・職歴などの要件があります。

元記事では、新しい基準を満たしていたと説明されています。ただ、個別の申請書類や審査内容までは分からないので、この記事だけで要件の充足状況や不許可の理由を判断することはできません。

ポイント: 今回の更新は新基準の施行後ですが、既存在留者には経過措置があります。「新要件を満たしていないから即不許可」という話ではありません。

ホームページの記載だけで不許可になる?

この記事の中では、ホームページの記載が異なっていたことを理由に不許可になった、と表現されています。

ただ、あくまで僕の肌感なんですけど、こんなちょっとしたことで切られるということはないと思うんですね。理由の一つに挙げられることはあるかもしれませんが、これだけで一発アウトになるとは思いません。

ホームページは広報のためのものですから、更新漏れや記載ミスが起こることもあると思います。ただ、公に出している情報ではあるので、申請書類との食い違いがあれば、実態を確認するきっかけにはなり得ると思います。

また、理由書の中でホームページを参考として入れていたのであれば、申請書類全体の説明と、ホームページの記載がどう食い違っていたのかも気になります。単なる表記ミスだったのか、それとも営業実態などを確認する中で、ほかにも説明が必要な点があったのか。そこは記事だけでは分かりません。

さすがに、この一点だけで切られるというのは話が違いすぎるんじゃないかな、と僕は思っています。

ポイント: ホームページの記載は理由の一つにはなり得ても、それだけで一発アウトになるとは、僕は思っていません。

僕が気になったのは、ご主人の厨房での活動

この話を聞いたとき、「よくあることだろうな」という範囲から想像を働かせるとすれば、経営管理で入っているこのお父さんは、普段から直接キッチンに立っていたんじゃないかなと思いました。

元記事の3ページ目には、日本語学校の先生たちをもてなすために、ご主人が自ら厨房に立ったという記載があります。ただ、この場面の記載だけで、日常的に調理をしていたかどうかまでは分かりません。

ここは、分かっていないのか、分かっていてやっているのか分からないんですけれども、経営管理のビザはあくまで経営を管理するビザです。なので、ご自身が主として厨房で調理などの現場業務に従事することは、経営管理の在留資格で認められる活動とは異なります。経営に付随して一時的に手伝う場面と、現場業務が中心になっている場合は、分けて考える必要があります。

おそらく飲食店の経営管理なので、経営規模に対して従業員の数が足りていない。特に日曜日の定休日の話を踏まえると、営業日数に対して従業員の数が足りていないんじゃないか、と見られた可能性もあるのかなと思うんですね。

この理屈でいうと、「この人数ではご本人も厨房に立っていないと回らないんじゃないか」と見られたとか。あとは社会保険の加入状況など、雇用の実態が分かる資料から確認される部分もあるんじゃないかなと思います。ただ、このご家族の従業員数や社会保険の状況は記事からは分かりませんし、これが実際の不許可理由だったと確認できたわけでもありません。

「経営をするためのビザ」という前提は忘れられがち

繰り返しになりますが、経営管理はあくまで経営をするためのビザなので、主として厨房で調理するためのビザではありません。これ、結構みなさん忘れがちなんだと思うんですよ。

以前、テレビのドキュメンタリーで、経営管理ビザの在留が厳格化されたことを報道するときに、どこかの地域のネパールカレー屋さんが取り上げられていました。そこでも、経営管理ビザで入っていると言っている当事者さんが調理しているシーンが、映像で放映されていたんですね。

もちろん、映像の一場面だけで普段の活動の全体は分かりません。ただ、経営管理の在留資格で何をするのかという前提は、改めて確認しておいた方がいいと思います。

ポイント: 営業日数と従業員の体制などから、ご本人の活動実態が確認された可能性はある、というのが僕の見立てです。実際の不許可理由は分かりません。

ルールのラインはどこにあるのか

エンドロールというわけではないんですけれども、この話の真相自体は分かりません。ただ、やはりルールが厳格化されているということは改めて見ておいた方がいいと思いますし、そのルールのラインがどこにあるのかもしっかり見た方がいいのかなと思います。

元記事によると、大学に進学した長男は、現在は留学生として日本に残っているそうです。ご家族全員が同じ在留資格や同じ選択肢になるわけではないので、それぞれの状況に応じた次善策も考えていく必要があると思います。

あとはご主人ですね。この後、日本でダメだったとして、どこでどう仕事をするのかなというのも少し気になるところではあります。

ただ、やはり経営管理ビザを今お持ちの方は、改めて現状を見直すというか、不許可やその他もろもろの場合に備えて準備しておくことも大事なのかなと思います。

ポイント: 経営管理ビザをお持ちの方は、ルールのラインがどこにあるのかを改めて確認し、不許可などの場合に備えた準備もしておくことが大事です。

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更新に向けた準備や経過措置については、こちらでもお話ししています。
経営管理ビザの更新、経過措置の期間はどう立ち回るのか──新基準との向き合い方を整理してみる

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この記事を書いた人

大阪を拠点に、建設業許可・在留資格・ドローン・障害福祉などの許認可手続きを中心に取り扱っています。
法律を専門的に学んだ経験を背景に、複雑な手続きの要点を分かりやすく整理し、実務でつまずきやすいポイントを拾い上げて紹介しています。
ときどき雑談や趣味の話題も交えながら、専門的な内容をできるだけ読みやすくまとめているブログです。

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